波長が合う・合わない
人には固有の周波数があります。
だからこそ、
一緒にいて
【居心地が良い】
【良くない】
などと感じます。
…ですが、一人の人の中に全く異なる2つの周波数を持っていたとしたら…
…片方は合うけれど、もう片方の周波数が合わなかったら?
どうしましょう。
昔、恋人がいました。
彼は繊細さと、大雑把さが綺麗に2層に分かれて1人の人の中にある、
そんな人でした。
指が細く長くて、
綺麗なものが好きで、
季節の便りとか、
風情のある便箋や葉書を沢山、私にくれました。
文章が素敵な人でした。
一方で、
「あぁ、腹減った。中華も良いな。でも君が食べたいなら寿司にしようか。」
…と、あれこれ悩まずスパッと決めてくれて楽でした。
細い神経と鉄筋のような頑丈さと…。
それが頼もしかったし、大雑把で単純だな、とも思いました。
彼がA面(今は懐かしきカセットテープのことです)を向けている時は、
しっくりと波長が合って、こんな素敵な時が続けば良い…
かと思うと、
別の日には別の面を見せてきて、
不協和音が鳴るのでした。
≪きっと彼には、A面もB面もしっくり合うような女性がいるのだろう≫
≪素敵な人だけど、私には半分しか共鳴しないみたい≫
段々、私はそう悟るようになりました。
雨の日に傘を差してくれるような人でした。
私は同じ日に、自分のことしか考えず、
小さな折り畳み傘を持って行ったのですが、
彼はわざわざ大きな傘を持ってきてくれていました。
嬉しくて、私はただ、「大きくて良い傘ですね」としか言えなかった。
「780円でした」真面目に答える彼。
もどかしくて、どうして気付いてくれないのだろう、
こんなにも嬉しいのに、あなたと傘の中にいられることが。
やがて、時が過ぎて、
もう以前のように気持ちが続かなくなりました。
連絡を取って、一時は嬉しくても、
その気持ちはすぐに日常の雑事に紛れてしまうのです。
段々…離れているな、と感じました。
2人とも、繋ぎとめようとはしませんでした。
その後、彼は、良く合った人と結婚しました。
きっと、昼も夜も一緒にいても落ち着くのでしょう。
彼のA面B面、両面を理解して丸ごと受け止める相手の方なのでしょう。
そうでなければいけません。
彼は 心に一杯のインスピレーションと霊感を私にくれました。
歌を忘れた カナリヤは
うしろの山にすてましょか
いえいえそれは なりませぬ
歌を忘れた カナリヤは
そうげの船に 銀のかい
月夜の海に 浮かべれば
忘れた歌を 思い出す