子猫物語 1
冬頃から、叔父夫婦の家で猫を飼うことになった。
その猫はもともと、私の実家の縁の下にいた猫で、
どこからやってきたのかわからない子だった。
可愛い声で助けを求めるように鳴いて、
母が外に出るとトコトコついてきて、
たいそう愛らしかったという。
真冬の雪が降る氷点下のさなか、外で鳴く猫が余りに可哀想で、
父と母は話し合って、
冬の間猫に最低限の餌や寝床を用意して、
縁の下に住まわせるようにした。
野良猫も多い場所だから、箱を断熱材で覆って作った寝床も、
他の猫に奪われたりしたこともあった。
屋根から雪がどさりと落ちると、
あの猫が潰されたんじゃないか、
鳴き声が聞こえないと、
もう死んだのではないかと心配しながら、
母は猫の安住の地を探し、
方々手を尽くしていた。
実家には猫が2匹いて、もうこれ以上飼えない。
ダメもとで母の兄(私の叔父)に電話したら、
次の日には猫を迎えに来てくれたという。
叔父夫婦には子供がいない。
実質、ほぼ初めての子育てが始まった。
(30年ぐらい前に猫を飼っていたが、手のかからない子だったらしい)
叔父「十分に食事はあげているのに、朝になると足元に鳴いて寄ってくる。
どうしたんだろう?」
そういう小さな疑問一つ一つも、母は応えて、≪指導≫して手助けしていた。
猫はそれぞれ個性がある。
前の猫が小食で、手のかからない猫だったので、
甘えん坊で大食漢の新しい猫に叔父夫婦は戸惑いながらも、
大事に大事に育てていた。
つづく