八日目の蝉
今頃になってしまったけど、読後の感想。
まず、最後まで読めなくて挫折した(>_<)
暗い、というか、辛い。
「悪い人」はとことん悪くて、
傷付く人はとことん傷つけられて。
何だか、
人の嫌な部分を凝縮して読んでしまったみたい、
で、
読むのが辛くなった。
でも気が変わった頃にまた、読むかもしれない。
ネタバレあります。
生まれて間もない頃に、
父親の元不倫相手の女性に誘拐されて、
子供時代を女性の下で暮らし、
ある時、本当の生みの親の元に戻されたけど、
何もかもが上手く行かなく、
馴染めない女の子。
その子の不倫相手の「岸田さん」。
岸田さんの部分だけ、
興味持って読んでしまった。
他は読み飛ばした。
岸田さんは、嘘をつくし、
自分では何一つ決められないような男。
でも、そんな男でも好きになってしまうことはある。
大恋愛とか深刻ぶった関係じゃなくて、
普通に一緒にご飯食べたり、
会話できる人。
そういう人って、なかなかいない。
人と出会っても、
ただ電車で一緒に乗ってる人たちみたいな、
何も関係ない人が大多数だから。
岸田さんは、嘘をつくし、
誠実じゃないけれど、
ご飯食べたり、一緒にいるのにそういうことは関係ないみたいだ。
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何か岸田さんの部分が、
(私もそうかもしれない)
と思ってしまって、妙に納得いった。
だけど、出来ることならあと少し。
ラストだけじゃなくて、もっと各所に、
希望とか、人の“良さ”や救いが欲しかった。
誘拐された少女が、元の家庭に戻された場面での苦悩、
産みの母親の苦悩もわかるけど、
あまりに表現が一辺倒過ぎる。
産みの母親は、子供を想うどころか自分の苦悩でいっぱいで、
負の感情をあらかた少女にぶつけてしまっている。
その場面のあまりの凄惨さに、
私は本を閉じてしまった!!
島の自然の美しさや、吹く風の心地よさ、
親しくなった人の懐かしさ・・・
そういった要素がもっと随所に散りばめられていたら、
この作品は名作としての輝きをより一層放つだろう、
と思われる。
だけど、何といってもこの作品は出だしの場面が秀逸。
キワコが足音を忍ばせ、
息をひそめて不倫相手の男性宅に忍び込む場面は
自分があたかもそこにいて
キワコの立場を体験しているようなリアルさがあるので、
ぜひ一度、
気になった方はチェックしてみてもいいかもしれません(*^^*)